Vol.32 山口銘菓外郎
Japanese Style
和のにゅーす・れたー Vol.32
発行日 2007.中秋 山口銘菓外郎
発行 三隅勝栄堂
〒753-0035
TEL/FAX 083-922-1026
URL misumi-shoeido.com
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外郎とは
外郎は、1368年(室町時代足利義満の頃)に陳崇敬(元(中国)の礼部員外郎の職)が日本に亡命し博多に居住し、陳外郎と称し、その子孫の陳宋寄が京都に移り住み、西洞院で「透頂香外郎」という薬を売り出し(1519〜1523)京都で外郎家と称し、薬業をなりわいとしたことから始まります。その後、戦国時代に外郎家が北条氏綱(小田原城に居城)に「透陳香外郎」を献上。北条氏が小田原に呼び寄せ、「外郎」という名称の薬として、小田原の名物になりました。しかし、ここで言う「外郎」は「薬」としての外郎でした。
蒸し菓子としての外郎は、秋津治郎作(周防山口の人)が大内氏の時代(室町時代)に「ういろ」式の蒸し菓子を考案(詳しい創製年は不明)という説もあります。(陳崇敬の子孫が京都に移り住み、京都で知人に「元の国の羮」を作ってご馳走していましたが、これが京都の駿河屋に伝わったという説もあります−こちらが一般的)
いずれにしても、室町時代後期には蒸し菓子としての外郎は登場しており、その製品の色が外郎に似ているので「ういろう」と名付けたということです。外郎薬の苦みを和らげるために、薬の後に食す菓子として考案されたという説もあります。
製法;糯米一合半、葛五合に黒砂糖一斤半と水七合を加え、練り蒸す(『倭漢三才図会』(1713年出版)より正徳の頃の製法)
この製法が名古屋に伝わり、名古屋の名産にもなりました。名古屋の外郎は、濃尾平野という雄大な平野を有する米所を背景に、上記の製法の通り、米粉を中心に製造されています。和菓子の業界で一般的に外郎とは、「米粉」などの「でん粉質」のものに砂糖と水を加えて、蒸したものを言うのです。上生菓子に外郎製のものがありますが、これも米粉や小麦粉と砂糖と水を加え、よく蒸してから上生菓子として様々な形に細工される和菓子です。
つまり、外郎とは、何らかのでん粉質の素材に砂糖と水を加えたものである。その点から考えると、山口の外郎が他の外郎と違う一番大きな点は、「餡」を使用することであります。この「餡」を入れるところが、名古屋にも、また上生菓子としての外郎にもない特徴なのです。
また、山口の外郎の特徴と言われてきた大きなものは、でん粉質の素材として「わらび粉」を使用することです。しかし、本わらび粉は、非常に高価で、また100%本わらび粉を使用すると、すぐに硬くなってしまいます。ですから、できたてで食べるしかありません。そこで、「三隅勝栄堂」で開発しましたのが、この手作り外郎キットなのです。
開発の経緯
当店では、外郎はできたてで食べるのが一番おいしく、時間が経過していくにつれてその食感や風味が損なわれていくことを何とかできないか、という問題意識を持っておりました。また、山口の外郎は、「わらび粉」が特徴と言われておりますが、本物のわらび粉は非常に高価で、わらび餅などの原料のわらび餅粉は、「さつまいもでん粉」や「タピオカでん粉」で代用して、商品名は「わらび餅粉」などと称しています。当店でも1年前まで、「さわらび」というでん粉を外郎に使用してきましたが、これは、「さつまいもでん粉」でございましたので、昨年「本わらび粉」100%に変えようと思いましたが、それは高価で、外郎を作っても価格が跳ね上がることになります。そのため、「本わらび粉」が5%入り、後は「タピオカでん粉」と「蓮粉でん粉」で代用された「わらび粉並」というでん粉を使用することにしました。「わらび粉並」に変えて外郎を作ってみると、今までよりももっちりとした弾力が得られ、またそれが持続することもわかりました。そこで、昨年夏より三隅勝栄堂では、「勝栄堂の外郎」として「わらび粉並」と小豆・砂糖だけで外郎を製造するようにいたしました。
しかし、これでは「本物のわらび粉の外郎です」とは言えません。そこで、本わらび粉100%を使用した外郎が製造できないかと、昨年よりずっと実験を続けてきました。しかし、「本わらび粉100%」は、できたては最高のもっちりとした感じがでるのですが、時間が経過すると硬くなり、さらには風味まで損なわれてしまいました。ですが、できたては、この「本わらび」に勝るものはないのです。
手作り外郎キットの開発に苦労したところ
「餡」を入れることで、山口の外郎独特の味が生まれています。ですから、手作りキットにした場合、当店の餡を、保存料を使用せずにどうやって保存ができるようにしてお客様にお渡しできるか、そして、そのための容器も手作りキットのイメージを壊さないものにする工夫が必要でした。そこで、竹にみえるようなプラスチックの容器に餡をぎっしり詰め、シールで密閉し、雑菌が繁殖しないように80度の高温で約1時間殺菌し、常温で1ヶ月日持ちがするように開発しました。
また、今までの外郎のスタイルは、板状の容器に生地を流し込み、それを切り分け、竹皮の紙で包むという形です。しかし、そのやり方だと、包丁が必要になりますし、手も汚れます。そこで、「はじめから磁器製の容器に流し、それを蒸し、できあがったらそのままスプーンで食する」ということを考えました。このやり方によって、手を全く汚さずに、外郎を作って召し上がることができるようになりました。
実用新案
「手作り外郎キット」(登録3135991号)
「喫茶室ユニット」(登録3135992号)
は、いずれも実用新案として登録済みです。
「国産の本わらび粉100%」の外郎のできたての最高の外郎をお客様へ、という強い思いを持ち続けてきました。また、お客様から「安心・安全の食」が求められている時代です。お客様の中には高額でもいい物を手に入れたい、と思われる方もいらっしゃいます。その上、オーガニックにこだわった食材で、添加物を使わずに、自分で手作りの食事を作って食べたい、という欲求も高まっています。そこで、本わらび粉・和三盆糖など、日本で古来より用いられてきた材料をそのままお客様がご自分で手にされ、ご覧いただいて、そして自分でそれらを調合して作れるようにしたらどうか、と考えるようになりました。購入されたお客様がご自宅で外郎を作れるように、また飲食に行った店でできたての外郎がご自分で作っていただけるようにと、三隅勝栄堂では、平成19年9月27日に、「手作り外郎キット(登録第3135991号)」と「喫茶室ユニット(登録第3135992号)」の実用新案を取得しました。手作り外郎がご自分で作ってすぐにお召し上がりになれる喫茶室は、「和カフェ風香」です。



